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火山噴火のしくみ

どうして火山は噴火するの?

日本には110の活火山があり、そのうちの20火山が北海道にある。洞爺湖有珠山ジオパークにある有珠山は、20~50年に一度、噴火をくりかえす活火山として知られている。また、洞爺湖も過去の火山活動で形成されたカルデラという火山性の窪地に水が溜まってできた湖である。ではなぜ日本にはこんなにたくさんの火山があり、どうして火山は噴火するのだろうか。

日本に火山が多いわけ

日本列島は世界でも有数の火山活動が盛んな場所です。図は日本の活火山の分布を表しています。活火山が列になって分布しており、その列は海溝と平行であることに気付きます。実は、日本列島は4つのプレートが、ぶつかり合う場所で、海溝はプレートの沈み込む場所なのです。プレートが沈み込むと、海底の水をたっぷりと含んだ堆積物が深い場所に引き込まれ、地下の圧力によって水分が絞り出されます。絞り出された水分が日本列島の地下にある高温のマントルをつくる岩石に混ざることで、岩石がとけてマグマができるのです。とけたマグマはまわりの岩石より軽く、地上に向かって上昇し、噴火を引き起こすのです。これが、日本に活火山がたくさんある理由なのです。

有珠山の場合

1977年8月7日、有珠山は大量の火山灰や軽石を上空12,000mまで噴き上げる噴火を起こした。このような噴火はプリニー式噴火といい、何かのきっかけで、地下のマグマだまりに溶けていた水や二酸化炭素などの火山ガス成分が発泡し、その力で噴火すると考えられている。よく振った炭酸飲料のボトルの口を開けて減圧させると、一気に発泡し吹き出る様子を想像してみよう。多くの火山の噴火は、このようなマグマの発泡によって生じる。軽石を観察すると、小さな穴がたくさん見える。この穴はマグマが発泡した痕跡なのだ。

2000年の有珠山噴火では、その時のほとんどの噴火は、水蒸気噴火だった。マグマ由来の物質を噴出しない噴火だ。地下から上がってきたマグマの熱が、その上にある地下水を加熱し、水蒸気の圧力が高まり噴火が起こった。やかんでお湯を沸かした時、急な沸騰でお湯が噴き出す状況を想像してみよう。2000年の噴火では、たくさんの噴石が住宅や道路にふりそそいだが、これは地面を構成していた岩石が吹き飛ばされたものだ。

軽石が噴出する噴火のしくみ
水蒸気噴火のしくみ

火山のジオパークを訪れる時には、景色だけでなく、足元の岩石も良く見てみよう。軽石ひとつからでも、マグマが発泡する様子が想像でき、火山の活動を感じられるだろう。このコラムでは、噴火のメカニズムの一例を紹介した。地球上の火山には、まったく異なるメカニズムで活動している火山も多数ある。

この「どうして火山は噴火するの?」(著者:北翔大学教授 横山光)は、『北海道博物館第2回特別展 ジオパークへ行こう!展』図録より、著者の許諾を得て一部訂正したものである。