
旧国道230号の階段地形は、2000年噴火の災害遺構の中で最も印象的な場所の一つです。道路標識や砂箱などからも、ここに国道があったことは明らかです。では、どんなメカニズムでこの様な地形ができたのでしょうか。

2000年噴火の時、この一帯の地下にマグマが上昇してきました。そのマグマによって、大地が最大60メートル以上も持ち上げられたのです。この様な地形は有珠山の東麓にある昭和新山のような溶岩ドームに対して、潜在ドームと呼ばれています。また、持ち上げられた大地の表面は、膨らんだカップケーキの表面のように引っ張りの力がはたらき、割れ目(断層)ができます。そして割れ目に沿って地表が陥没する事によって、この様な地形ができたのです。大地にできた溝のような地形なので、地溝(グラーベン)とも呼ばれています。この様な断層地形の多くは、年月とともになだらかになってしまうのですが、頑丈な国道の舗装道路が侵食を防いでくれたため、今でもしっかりと保存されています。