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My Geopark Story 03
ナミヘイピザ

珠山とピザの意外な接点!? 
予約がおすすめ豊浦の人気店

国道37号を洞爺湖町から函館方面に向かうとほどなく、海と緑と太陽のまち豊浦町に到着。手づくり感ただよう「PIZZA」の文字の看板が目にとまります。ナミヘイピザは2013年のオープン以来、本格的なピザが味わえる店として、地元を中心に国内外に根強いファンを獲得。スムーズな入店には、予約がおすすめの人気店です。

豊浦町は、日本一の秘境駅として知られるJR小幌駅からアクセスする洞爺湖有珠山ジオパークのみどころ・小幌洞窟があるまち。先史時代の遺跡があり、2000年前の貝塚も発見されています。

洞爺湖有珠山ジオパークを訪れたら、ちょっと足を延ばしてみたくなるおしゃれな店。ドアを開けて奥に進むと、目に飛び込んでくるのは巨大なピザ窯です。この窯、実は有珠山の溶岩プレートを敷き詰めた、オーナー自作のものなのです。そこにはどんなこだわりがあるのでしょうか。ジオパークの大地の恵みをもたらすピザ窯の秘密に迫ります。

有珠山の溶岩プレートを使った独自の窯

ナミヘイピザのピザ窯は、伝統的なドーム型の形状です。耐火れんがに囲まれた窯の内部で薪(まき)を燃やし、熱を対流させて内部を高温に保ち、ピザをカリッと焼き上げます。窯の中は一つの空間で、向かって左側でピザを焼き、右側では薪が赤々と燃えています。

焼くピザは、パーラーと呼ばれる先端が平らな棒状の道具を使い、大きく空いた投入口から窯の奥へと差し入れます。焼き加減を見ながら中でピザを回転させて、焼き上がりを調節します。そのピザの下に敷き詰められているのが、有珠山の溶岩プレートです。

溶岩プレートは厚さ5センチのものを使用。原石から、気泡が少なく密度の高い部分を厳選し、窯の底面全体に敷き詰めています。このプレートは「輻射熱(ふくしゃねつ)の上がり方、プレートから出る遠赤外線によって焼き上がりがとても良い」(オーナー)といいます。

ナミヘイピザがこのプレートを採用したのは、オーナーが洞爺湖有珠山ジオパークの活動に協力していた縁がありました。もともとイタリアンやフレンチの経験を持つオーナーが、独立して豊浦町にピザの店をオープンさせるためピザ窯を自作しようと考えており、タイミングが合ったのです。

ピザ窯は、本場のイタリア・ナポリでもかつてはイタリアの火山の溶岩プレートを使うのが一般的だったとのこと。洞爺湖周辺地域には、噴火を繰り返す中で地域に恵みを与えてきた有珠山の溶岩プレートがある。そう知ったオーナーは、地元の石材店の協力を得て、窯に使うことを決めました。

ピザ窯の自作には、施工方法を学ぶなどハードルがありました。かつて料理修行をともにした元同僚とのつながりもあり、幸運にも、有名店のピザ窯を手がけた東京の業者の施工現場を手伝う機会を得ました。窯づくりの職人から素材や構築の仕方を学び、煙突の配管など金属部材の加工は地元の鉄工所にお願いし、半年以上かけて作り上げました。

次のハードルは、理想の焼き加減を実現するために窯を安定させることでした。耐熱れんがにセメントとモルタルで作った窯は、全体の水分を抜き切るのに1年を要したそうです。「1分で焼けるはずが焼けない。生地が硬くなってしまう」「熱すぎると中まで火が通らないうちにこげてしまう」という課題と向き合い、納得がいくまで試行を重ねたといいます。

ピザを直火で焼き上げるピザ窯は、薪選びも大切なポイント。ナミヘイピザは、地元の広葉樹・ブナの間伐材を使っています。薪を燃焼させてピザ窯内部を高温にし、さらに薪の直火も利用して焼くことで、ピザは短時間でおいしく焼き上がります。窯の中は最も熱い場所で400度にも達しますが、場所によって温度が違います。その差を利用して、厚さが位置によって異なる生地に中まで熱を届け、焼き上げるのです。

独自の焼き方と地産地消へのこだわり

ナミヘイピザの特徴といえば、こだわりの生地です。北海道産小麦を100%使っていて、主にゆめちからをチョイス。冷蔵庫で4日間熟成させることで、うまみを最大限に引き出しています。「窯に対して生地を作る」というオーナーのこだわりが、ナミヘイピザ独自の、縁はカリッとしていながらも、しっかりとした歯ごたえを実現しています。それでもオーナーは「まだまだ極めきれていない」と、理想の生地の探求を続けています。

メニューはピザだけではなく、パスタやメインの肉料理など多彩。オーナーはピザの本場ナポリをはじめ、洞爺地区のハイクラスホテルなどでの修行経験を生かして腕を振います。その料理の特徴はなんといっても地産地消。大地の恵みが感じられる、四季折々の地元食材をふんだんに使っている点です。

地元豊浦町特産品のSPF豚(特定の病気がない高品質の豚)の肩ロースはメインの肉料理、自家製ベーコンはピザの具材にしているほか、ホタテの稚貝、カキ、行者ニンニク、キタアカリ、デザートピザにはイチゴや壮瞥町のリンゴなどもふんだんに使っています。

「突き詰めると、一番おいしくて新鮮で、手に入りやすいのが地元の食材。遠くから来られる方だけではなく、生産者の方にも喜ばれています」と自信をもってオーナーは語ります。

それだけに、きょうのおすすめには旬の素材を使ったメニューを用意することが多く、予約の電話も「今の時期のおすすめは何?」という問い合わせが多いといいます。

例えば、豊浦産SPF豚のバラ肉で作った自家製ベーコンとオニオンのピザ。こんがりと焼きあがった生地に、長く伸びる良質なチーズ。ほお張ると、スモークベーコンの香ばしさに加え、絶妙な火加減でシャキシャキ感と甘みが引き立つオニオンが食欲をそそります。生地はもちもちしていながら、縁はカリッとしているという絶妙な食感がたまりません。

「家庭ではできない、他でまねできないピザを作りたい」。そんなオーナーの思いが感じられるピザにたどり着くまでには、本場ナポリでの修行経験がありました。ナポリには1400店ものピザ店があるそうで、オーナーは現地で腕を磨きました。店によって食感が異なることを確かめながら、目指すのはモチモチ感があって軟らかいナポリピザではなく、サクサク感も取り入れた複雑な食感の新しいピザにしようと決めたのです。

ナミヘイピザは、焼き立てはカリッとした食感に仕上げますが、時間がたつにつれ生地には甘みが増していくそうです。そのため、1枚目は食感と塩味、2枚目以降は甘みと、食べ進める楽しみがあるといいます。

また、旬の素材が生きるように、トマトソースの量はこまめに調整しているそうです。チーズが苦手な人でも食べられるポポロというピザは、生地と食材のみで仕上げるためバランスが難しいことで知られますが、ベストなバランスでレギュラーメニュー入りしている一品です。

オーナーのこだわりは店の内外装や店名にも

店で出すドリンクにもこだわりがあります。その数、93種類。ワインだけで46種類用意しています。最近人気のノンアルコールカクテルでは「豊浦ブルートニック」が目を引きます。豊浦の海をイメージしたさわやかな一杯は、ドライブ途中でも安心して味わうことができます。

店名の由来は、ご想像の通り。豊浦町から見える豊かな海のイメージに、老若男女に親しまれている国民的人気アニメの登場人物をオマージュ。イタリア語の店名でも考えたそうですが、地域に住む人みんなに親しんでもらえるように、との願いを込めたそうです。

店の外観、内装にも、オーナーの手作りへのこだわりがあります。壁にはられたマツの板は、伐採木を製材にする過程で出る端材を譲ってもらい、自身で削って壁材にしています。古民家の梁も店内の飾りに利用するなど、環境にやさしい自然素材を生かしています。そんなオーナーのこだわりが詰まった店内はジャズが流れ、上質な食と相まって居心地の良さを提供しています。

ジオパークを散策した後、ちょっとおしゃれなお店に行ってみたい。ここでしか味わえない、ジオパークの大地の恵みたっぷりのピザを食べてみたい。そんな人にぴったりのお店。ナミヘイピザ、おすすめです。

namihey pizza( ナミヘイピザ)

 ランチ 11:30〜l.o 13:30 
 ディナー17:30〜l.o 20:30
定休日 毎週月曜 第1第3日曜日
ご予約はインスタのDMでも承ります!

北海道虻田郡豊浦町東雲町28-1

0142-82-4808